オタクの変化に学ぶ?言葉の移り変わり
好事家という言葉があります。
特に若い世代には馴染みが薄い言葉かもしれません。「こうずか」という読み方を知らない人も少なくありません。新明解国語辞典で好事家を調べてみると、「普通の人には興味のないような物事に関心を寄せる人」と記載されています。現代の何かに似ているように思えませんか。
そう、オタクですね。
古来、オタクという言葉がなくても、同じような意味を持つ言葉がありましたが、若者には馴染みがないため、新しい言葉が生まれたようです。ただし、オタクを好事家と言い換えても、ニュアンスが少し違うように感じられることも事実です。さらには昨今は空前の”推し”ブーム。”推し”のブームと共に、オタクのあり方自体もまた変わってきたように思います。
最近のオタク文化「祭壇」
キャラクターのグッズで埋め尽くされ、イメージカラーで部屋全体が統一されている様子は、まさに''祭壇''ですよね。昔のオタクというと、とにかく対象へのこだわり、愛情が全面に出ているものの、自分自身へ対象が投影されることはあまりなかったのですが、昨今のオタク文化では自身に''推し''をイメージするものを纏ったり、''推し''を愛でる様子を発信したりと、より対象との距離を身近に感じるようになっています。
どちらにせよ、共通しているのは物事へのこだわりの強さです。この「こだわり」という言葉は、例えばクラフトビールを好む人がビールに対するこだわりが強いと表現されるように、本来は些細なことに執着することを指していましたが、それが好ましくない意味で使われることもありました。新明解国語辞典では、新しい意味として注釈がつけられていますが、他の辞書では単に執着することとして記載されていることも多いです。
言葉は時代と共に変化していくものであり、それを受け入れるしかないのかもしれません。この文章で使われた「古来」も、単に昔からという意味で使われますが、誤解されて「古来から」という誤った使い方が広まっているように思います。誤った使い方が定着してしまうのも時間の問題かもしれません。そんなことを考えても仕方がないのに、言葉の変化にはつい過敏になってしまう、なんだか言葉オタクな筆者です。