
入社2年目で新サービス!?企画からリリースまでやり遂げた怒涛の2か月間を振り返る<考え抜いた企画編>
これは入社2年目のサカイが新サービス「データミル」をリリースするまでの振り返りをしていく記事です!
前編の<思わぬきっかけ編>はこちら!
中編は<考え抜いた企画編>ということで、立ち上げるに至った背景、ニーズ調査に続いて、自分の構想を企画書にまとめていくパートになります。
企画は壁打ちの繰り返しで、相当苦戦しました…
そんな苦戦の様子も包み隠さず残していくので、是非読んでください!
新サービス開発手順
コンセプト検討ニーズ調査企画書作成 ◀
プロジェクト計画書作成 ◀
開発
3.企画書作成
企画の段階では、具体的なサービスの方向性を考えていきます。
企画書に盛り込む内容は主に次の4つです。
①市場調査
②ユーザーの問題と提供価値
③機能一覧と画面イメージ
④価格と3か年計画
①市場調査
まずは、競合アプリの調査です。
競合アプリが、ユーザーのどんな課題を解決して、価値を提供しているのか、画面や機能と共に分析しました。
競合アプリAは、クロス分析のアプリです。
スマレジの標準分析メニューが単軸の分析しかできないという欠点を補っています。
ターゲットは恐らく、今までスマレジからデータをダウンロードし、エクセルで複数軸のデータ表を作成していた方です。自由に軸を設定し、データを簡単に表示させる機能を提供しています。
このアプリは、日頃エクセル等でデータの集計・分析を行っているデータ分析中級者の作業負担を軽減させるものだったので、私たちのアプリは、別のアプローチで提供価値を生み出して、差別化を図ろうと考えました。
②ユーザーの問題と提供価値
次に、アプリのターゲットが抱える問題と提供価値の検討です。
ターゲットは、差別化のために"データ分析の初心者=小規模事業者の方"に設定しました。
彼らが抱えている問題は、インタビューから「日々の店舗運営でどのようなデータを見るべきかわからない」こと、「スマレジ内でデータが散在しており、データの確認が手間」の2つだということが分かりました。
これらを解決する提供価値として、見るべきデータが明確になることと、データを簡単に確認できるメニューの2つを中心にサービスコンセプトを検討しました。
一見、ここまでスムーズに決まっているように見えますが、ユーザーの問題やサービスの提供価値を考えるときは、ゴヤさんと何度も壁打ちを行いました。
壁打ちの際には、よく5Whysという手法を用いました。
5whysとは、私が仮説として考えたユーザーの問題に対して、なぜその問題が起こっているのかという問いを何度も繰り返して問題の根本原因を追及するやり方です。
ひとつの「なぜ」に対して答えを考えるたびに新たな疑問が生まれ、視点を変える必要があります。これが非常に頭を悩ませました。
特に初期段階では、「本当にこれが根本原因なのか?」と自分自身に問い続ける苦悩がありました。
それでも、この深掘りが進むと、少しずつ霧が晴れていくような感覚を得られ、とても大きな達成感がありました。
これらを元にサービスの企画を練り上げていきました。
③機能一覧と画面イメージ
サービス機能の検討
サービスのコンセプトがある程度固まったら、実現する機能を考えはじめました。
考えていくうちに、「見るべきデータを明確にする」「データを簡単に確認できる」ことを叶える方法として、アプリの分析メニューを日次・月次の2つのレポートだけに絞ること、そして、毎日/毎月見るべきデータをダッシュボードに集約して表示させる形に行きつきました。
あとは、日次・月次のレポートにどのような表やグラフを表示させるかという点です。コンセプトが「日々の見るべきデータがまとめてある」ことなので、見るべきデータとして、店舗の売上の構成要素がわかるようなデータ項目を考えました。
そこで思いついたのが、売上の構成要素を枝分かれさせていく売上因数分解です。売上因数分解では、一目で売上増減の要因を把握できます。
日々見るべきデータとしてはうってつけの形が見つかりました。

<サービス機能第一案>
一番最初のサービス機能案は売上因数分解を含めて4つに絞りました。
・売上を客数や客単価に分解した売上因数分解
・時系列で分解した時系列売上実績
・曜日で分解した商品別売上実績
・商品で分解した商品別売上実績
早速、この4案をひとつの画面イメージとして作成してみると、見る必要のあるデータが多すぎて、初心者の方が読み取るには難しい画面になってしまいました。
頭の中では上手くいってたものの、形にすることで問題が浮き彫りになりました。
<サービス機能第2案>
第一案では、様々な切り口から売上の分解をしていったために、見るべきデータが散らばってしまったという問題が生まれました。
なので、第2案では少ない切り口でストーリーを持たせて表示させる方向にシフトさせました。

ストーリー立てるために最初に表示させるのは売上因数分解です。
因数分解のみだと、各要素の深掘りが難しいので、具体的な対策を講じるために、各要素の推移がわかる時系列の実績を追加しました。
これなら非常にシンプルでわかりやすいので、データ分析初心者の負担も少ないと考えました。そして、店舗運営にとって必要不可欠な単品実績も追加しました。
最後に、それぞれの帳票でデータの良し悪しを判断する要素として、日次の場合は前週実績との比較、月次の場合は前年実績との比較を用意しました。これによって売上の増減要因が簡単にわかるようにしました。
<日時レポートと月次レポートの違い>

基本的な機能構成はできたので、次は日次レポートと月次レポートでどのような違いを出していくか。
日次の場合は、その日の詳細を見る時間帯の実績、月次の場合は日別の実績を見るイメージで考えました。売上因数分解や単品の売上実績は日次・月次で共通としました。
違いとして、売上を構成する各要素の時系列推移を時間帯と日別に分け、毎日見るべきものと毎月見るべきもので区別させました。
画面イメージの作成
機能が固まると、画面イメージの作成に入りました。
UIのデザインに関しては、全くの初心者だったため、まずは類似製品の画面デザインの分析から始めました。
競合アプリAや他のタブレットPOS分析メニュー、自社製品の分析メニューを見比べて、ユーザー視点で使いやすそうなデザインをコピーしてつなぎ合わせていきました。
ここまでは苦しい作業が多かったですが、デザインを考えることは好きだったので、これは楽しい作業でした。
④月額プランと3か年計画の作成
サービスのイメージができたので、最後に月額プランと目標を設定しました。
月額プランでは、競合アプリやその他のスマレジアプリマーケットの相場を見ながら、機能に見合う価格ラインを感覚で決めました。
また、競合アプリAのダウンロード数が500だったので、3年目で500ダウンロード達成を目標に設定しました。
この目標と月額料金をもとに、各年目標獲得ダウンロード数と想定収益を算出して、3か年計画を作成しました。
そしてこれらの①~④を盛り込み企画書を完成させました。

完成した企画書はゴヤさんからも承認をいただき、実際に開発プロジェクトとして動き出すことが決まりました。
4.プロジェクト計画書作成
プロジェクトを実行するにあたって、私とKさんのみでは難しいという見立てがあったので、PM(プロジェクトマネージャー)を1人アサインしていただきました。
プロジェクト計画書の作成も初めてだったので、PMに大枠と開発部分を作成していただきました。
プロジェクト計画書では、企画書の段階では抽象的だった内容を実現可能なものにする作業をしました。開発面では、PMの力を借りて、フロントエンドとバックエンドの構成、システム概要図を作成していただきました。
私は、考えていた機能一覧が実現可能か、必要なデータはスマレジから取得できるか、スマレジのAPI仕様書を見ながらひとつずつチェックしていきました。
API仕様書も初見だったので、最初はわけもわからなかったですが、わからない単語をひとつずつ調べながら理解していきました。
また、画面イメージも仕様書を作成しました。ただのラフ絵の状態から、このボタンを押すとどのように作動するとか、ここを選択するとデータ表示がどう変更されるのかなどを細かくまとめました。
こちらもはじめてだったので、開発担当のKさんとなんども壁打ちをして、Kさんのここはどのように動くの?という疑問にひとつずつ答えて画面のすりあわせを行い、その内容を明文化していきました。

WBS(Work Breakdown Structure)の作成
WBSとはプロジェクトの作業を段階的に細かなタスクに分解して計画を立て、実績管理するためのガントチャートのようなものです。
サービス作成に必要な開発タスクをPMにすべて洗い出してもらい、WBSを作成してもらいました。およそ2か月間でほとんどすべての開発作業がKさんに割り振られていました。
システムがブラックボックスになることを防ぐため、私も一つの帳票の開発作業を担当しました。
画面仕様やシステム概要図、開発の使用言語や想定リスク、投資回収スケジュール、WBSを作成して、プロジェクト計画書が完成しました。
これをもってキックオフに臨みました。
次回は、いよいよプロジェクトのキックオフです!